神戸の北野異人館街にある「風見鶏の館」をご紹介します。
萌黄の館の斜め向かいが「風見鶏の館」
萌黄の館の次は、斜め向かい側の風見鶏の館に向かいます。萌黄の館前の広場を渡ってすぐに風見鶏の館があります。
風見鶏の館とは
風見鶏の館は、かつて神戸に住んでいたドイツ人貿易商のゴットフリート・トーマス氏が自邸として建てた建物です。
設計は、ドイツ人建築家のゲオルグ・デ・ラランデ氏で、明治30年代後半から大正初期にかけて日本で活躍した建築家です。
北野・山本地区に現存する異人館の中でれんがの外壁の建物としては唯一のもので、他の異人館とは異なった重厚な雰囲気をもっています。
尖塔の上に立つ風見鶏は北野町の象徴として欠かせない存在となっています。
1978年に国指定重要文化財に指定されています。
NHKテレビドラマ「風見鶏」との関係
風見鶏の館の入口横には、NHKテレビドラマ「風見鶏」の放送開始により全国的な洋館ブームのきっかけとなり、北野の洋館に多くの観光客が訪れるようになったという看板があります。
風見鶏の館とドラマは直接的な関係はないようです。(ウィキペディアより)
室内・内装(1階)
室内は全体にドイツ伝統様式を取り入れながら、19世紀末から20世紀初頭にかけてアール・ヌーヴォーの動きを感じさせるものになっています。
入口を入ると1階には最初に応接室があります。
1階は応接室の他に、居間・食堂・書斎となっています。
1階は各入口扉の把手金具に、アール・ヌーヴォー風の装飾がついていて、天井とシャンデリアはすべてデザインが異なります。
広々した食堂です。食堂の裏には配膳室があり、地下の台所からリフトで運び上げられた料理は右側の棚の小さな窓から出されていたと言われています。
食堂にはトーマス一家の写真が飾ってあります。
トーマス一家は、1914年(大正3年)に一人娘エルゼさんの進学のためドイツに帰国した際に第一次世界大戦が勃発し、日本に帰れなくなり住宅が没収されてしまいます。
以降消息不明となっていたトーマス一家ですが、1977年に始まったテレビドラマで異人館ブームが起き、神戸市が風見鶏の館を買い取って一般公開することをニュースで知ったエルゼさんが名乗り出たことで消息が判明したそうです。
館内には、子どもの頃のエルゼさんや一家の写真、消息判明後に神戸市の招待を受けて来日したエルゼ夫人の写真などたくさんの写真が展示されていました。
玄関を入って右側にある書斎です。
どの角度からも光が入るように五面のベイウィンドウになっています。
室内・内装(2階)
2階には夫婦の寝室・子供部屋・客用寝室・朝食の間があり、トーマス氏の家族が過ごすプライベートルームとして使用されていたため、1階に比べて簡素な造りになっています。
朝食の間は、宿泊されたお客様とトーマス氏の家族が一緒に朝食を召し上がった部屋と伝えられています。
風見鶏の館で1番広い24畳の部屋は、一人娘のエルゼさんの部屋です。南向きの日当たりのよい部屋で、当時は洋服ダンス、整理ダンス、テーブルと椅子、勉強机、裁縫台、人形コーナーがあったそうです。
2階のホールは当時はビリヤード台が置かれていて、今でもビリヤード専用の照明が残っていました。
1階から2階への階段は当時の夫人のドレスを考慮してゆったり目に作られています。この階段は使用人は使うことができずに、使用人は地下室から屋根裏部屋へ続くとても狭い専用の階段を使用していたそうです。
風見鶏の館の情報
開館時間
9時00分~18時00分(入館は17時45分まで)
休館日
6月と2月の第1火曜日(定休日が祝日の場合は、翌日休)
※2023年10月~2025年3月(仮)まで耐震改修工事のため長期休館となっています。
入館料
大人:500円
風見鶏の館・萌黄の館の2館共通券:650円
アクセス
「三宮駅」から北へ徒歩15分
「新神戸駅」から西へ徒歩15分
イベント情報
風見鶏の館では、通常非公開となっている地下室や裏(使用人)階段、屋根裏部屋が見学できるガイドツアーやナイトツアーを実施していました。
2023年10月から休館のためイベントは実施されていません。
休館情報
風見鶏の館は、2023年9月末で耐震改修工事のため休館となりました。(写真は2023年9月末)
耐震改修工事は2025年3月末までの予定となっています。(2023年10月時点)
北野街の象徴であり異国情緒溢れる風見鶏の館は、実際に生活していたトーマス氏の当時の様子や歴史も感じることができ、北野異人館街の中では特におすすめの異人館です。
しばらくの間入館できないのは残念ですが、再開後にはぜひ訪れてみてください。