花菖蒲の名所、小石川後楽園に行ってきましたので、花菖蒲の開花状況と見頃、小石川後楽園の見どころをご紹介します。
小石川後楽園とは
小石川後楽園は、江戸時代初期の寛永6年(1629年)に水戸徳川家初代藩主である徳川頼房が江戸の中屋敷に築造し、2代藩主光圀の修治により完成した江戸の大名庭園として現存する最古の庭園です。日本と中国の名所や古典になぞらえた見所を配した「後楽園」は、造園当時から明るく開放的な六義園と好対照をなしています。
花菖蒲の見頃、開花状況
5月下旬から6月中旬は花菖蒲の見頃です。2023年は5月25日~6月11日まで「花菖蒲を楽しむ~初夏の大名庭園を彩る優雅な紫~」のイベントを開催中です。
公式ホームページで開花状況を確認できます。
小石川後楽園の見どころ
今回は水道橋駅から小石川後楽園に向かい、東門から入りました。東門から一周しましたので、小石川後楽園の見どころを写真で順番にご紹介していきます。
唐門・内庭
東門を入るとまずは内庭があります。遠くに見えるのは唐門です。私的な空間である上屋敷の内庭と後楽園の境界にありかつての後楽園への正式な入口となっていた門です。戦災で焼失し復元されました。
池には蓮が咲いています。
唐門は近くで見るとカラフルな模様です。2020年に復元されたばかりです。唐門が復元されたことで東門が開門され、本来の策庭意図に沿った鑑賞が可能となりました。唐門の裏から大泉水へ行くことができるのですが、今回は花菖蒲が見たいので、先に花菖蒲田へ向かいます。
花菖蒲田
花菖蒲田へ到着。小石川後楽園は、「海、山、川、田園」の風景が表現されていて、歩く毎に景色が移り変わっていきます。4つの景のうち「田園の景」では、5月末から6月初頭にかけて約660株のハナショウブが見ごろを迎えます。
6月初旬に訪れたところ、まさに見頃でした。
花菖蒲田一帯に菖蒲が咲き誇っています。660株の花菖蒲は見応えがあります。
紫のグラデーションが素敵です。どこから見ても綺麗。
花菖蒲も色々な種類があります。小石川庭園では、花菖蒲の栽培が盛んになった江戸時代から、昭和の戦前までに作出された江戸系品種を楽しめます。
江戸系は上から見やすいように平咲きの品種が多いのが特徴で、群生して咲く様子を鑑賞するのに適しているそうです。
見ごろの時期に合わせてより近くで花菖蒲を鑑賞できるように、菖蒲田の脇に木道が設置されて、かなり近くで花菖蒲を楽しむことができます。江戸系花菖蒲は上から見るのもよいですが、横から見ても素敵です。
近くにどくだみも咲いています。
どくだみと花菖蒲。
遠くに後楽園が見えます。
愛宕坂
愛宕坂は、京都愛宕山の坂にならって造られたもので、47段の石段からなっています。傾斜の急な方を男坂、ゆるい方を女坂と言うそうです。
男坂はかなり急で、立ち入り禁止になっています。昔は登れたのでしょうか。
女坂から登って、上から花菖蒲田を眺めます。
花菖蒲田周辺
花菖蒲田の周りには、藤棚や田んぼもあります。藤の時期にも来てみたいです。
花菖蒲田の前には松原。往時は数百本の松が鬱蒼として空も見えないほどだったそうです。
西門方面へ
大泉水のほとりにある松は、一つ松です。琵琶湖を模した大泉水に対して、近江大津の「唐松の一つ松」を模したと伝えられています。
蓮池と小廬山。中国の「廬山」にちなんで京都東山の清水寺一帯は「小廬山」と呼ばれていて、小石川後楽園ではこの一帯を京都東山に見立てていることからここを「小廬山」と名付けたそうです。
円月橋
大泉水から離れて、奥に進むと円月橋があります。
水面に映る形が満月のように見えることからつけられました。明の儒学者、朱舜水による設計といわれていて、当時の姿を留める貴重な建造物です。
大堰川周辺
通天橋は、京都東福寺の通天橋を模して造られた橋です。
通天橋から見下ろして見えるのが大堰川です。新緑の紅葉が気持ちいいです。
大堰川の沢渡り。
沢渡りから見た通天橋。ここは「音羽の滝」で、京都清水寺の「音羽の滝」にならって名付けられました。かつては、水車で神田上水の水を汲み上げて流していたといいます。
大堰川の岸辺には屏風岩。屏風のようにまっすぐ立っているため名付けられました。三代将軍家光が訪れたときに岩の近くの松に手巾をかけて河原の石に腰を下ろして休んだと言われる場所です。大堰川の名前は、京都嵐山を想して名付けられたものです。
後ろを向くと、西湖の堤。中国杭州(現在の浙江省)の西湖の堤に見立てて造られたものです。小石川庭園以降に造られた大名庭園の「西湖の堤」の先駆けとなりました。
紅葉林
西門から東門に向かう途中、大泉水を望む広場が紅葉林です。
紅葉に赤い実がついていました。紅葉の時期はきっと絶景です。
延段
紅葉林から東門方面へ戻ります。延段は、中国風の素朴な石畳で、切石と玉石を巧みに組み合わせたものです。気持ちのいい道が続きます。
木曽山。
寝覚滝(ねざめのたき)は、内庭池水の末流が滝となって木曽川に落ちるところです。木曽路の名所「寝覚めの床」にちなんで呼ばれています。
唐門の反対側に到着しました。これで小石川後楽園の庭園を一周です。
まとめ
小石川後楽園は一帯に広がる花菖蒲田と変化に富んだ風景の「回遊式築山泉水庭園」を楽しめる充実したスポットです。花菖蒲を楽しみに訪れたのですが、庭園の素晴らしさにも感動しました。花菖蒲は6月初旬で満開です。花菖蒲を鑑賞するなら早めに訪れてみてください。